ティネリール
猛暑のタルーダントからアトラス山脈の南部アンチアトラスを越えると、サハラ砂漠への中継点となるワルザザートという街に到着します。
サハラへの拠点だけに、ツーリストの姿が目立ちます。
レンタカー屋もポツポツ見かけ、欧米人たちはそれで旅をするようです。
モロッコの道は比較的綺麗で、交通マナーもインドと比べればかなり良いように感じます。
レンタル料なんかは日本とあまり変わらないようですが、ただっぴろいアフリカの地を車で疾走するのはさぞかし楽しかろうとは思うのですが、ただ、スピード違反の警察の姿なんかを荒涼としたハイウェイで見かけたりするので、いざ車を借りてもまずスピード違反で捕まるだろとは思いますね。
そこからアトラス山脈沿いに3時間ほど北東に行ったところにあるティネリールという街に来ていますが、ここがなかなかのんびり出来そうな小さな町。
バスを降りてからの客引き?なのか何なのか分からない青年たちに付きまとわれながらホテルを探したのですが、申し訳ないけれど半ば無視しつつ歩き後ろを振り返ると4人くらいおっさんや青年がついてきていて、カタコトの日本語で「コノオッサンンバカ、バカ、ウソツキネ!」とか、「コイツアホ、アホ」とか罵り合っている。
いざ着いた宿の人いわく、
「相手にしないでください」
とのこと。一体彼らは客引きだったのかなんだったのか、、、。
泊まることに決めたラブニールというホテルには、日本語堪能なムハさんというお兄さんがおり、お世話になっています。
先月から目の調子が悪く、町にある病院で医者を紹介してもらったのですが、まあ薬を処方して様子を見てみましょうということだったのだけれど、1DH(13円)という驚きの診察料!
ありえないでしょう。薬代は37DHですがなんですかこの恐ろしく安い診察料。なにか国からの補助でもあるんでしょうか?謎です。
ちなみにお医者さんはフランス帰りのイケメンモロッコ青年でした。こんな片田舎っぽいところでねえ。
ティネリールはオアシスに囲まれた小さなところで、町の丘の上にはカスバという古い要塞跡が残っています。
この要塞がアトラス山脈沿いに点々と残っていて、ワルザザートからこっから行くエルラッシディアという町までの街道を、カスバ街道と呼ぶらしい。
ワルザザートの周辺のカスバなんかはよく映画の撮影で使われるらしく、「アラビアのロレンス」とか「ハムナプトラ」とか「シェルタリングスカイ」とかでも使われたそう。どの映画も観たことありませんが。
何にしても宿の居心地がすごく良くて、ルーフトップからは辺りの景色が一望できるし、人も良い。7年間日本に居たと言うムハさんは誠実な感じの人で日本語もべらっべらなので、安心できる。
一旦砂漠へ行くもののまた戻ってこようと考え中。
そんな話をムハさんにしても、「イッシャアッラー」と応答してくれる。
この言葉(間違ってるかもしれませんが)、「先のことは神様しかわかんねえよ」「神のみぞ知る」という感じの言葉らしく、イスラム圏の人々と約束した時にはかなりこれを言われます。
言い方悪くすれば「適当」なのかもしれませんが、これを言い合うことで、もし何かの都合で約束を果たせなかったとしても、まあ神様が決めたことだからしゃあないわな、という感じでお互いに許容しあえるらしく、自分はこの言葉がすごく好きですね。
それを連発されて約束を反故にされまくるのもたまらないかもしれませんが、そのユルユル感、いいですね。
日本じゃ「言い訳すんなコラぁ!」ですもんね。思想の違いを痛感するのです。
そんなわけで、砂漠へ!