宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

マラケシュ。うざいと噂の国に来る。




3大うざい国、インド、エジプト、そしてモロッコ
旅人の間でまことしやかにささやかれているコレ。
ロンドンからマドリードまで、世界一周券を使って飛び、マドリードからモロッコマラケシュまで別便を購入して飛んだ。
欧州には格安航空会社がいくつかある。
それがほんとに安い。
自分が買ったのはイージージェット、わずか46ユーロ(7000円ほど)。
スペインを南下して、フェリーを使って、さらに南下してマラケシュにたどり着くことを思うと、お金も、時間的にもかなりお得である。
そのかわり大陸間を点と点で結んでしまうような一種の淡泊さは感じざるを得ないけれど。
安い分、畿内食なんかも省かれているし、アテンダントがマイク使って畿内販売に大忙しだったり、座席自由だったり、格安航空会社の面白さを見た。

マラケシュの空港に降り立つと既に夜で、乗り合いタクシーの運転手は2倍の運賃を要求してきた。
その感じが、久しぶり。
マラケシュのフナ広場には、夜だというのにもの凄い人の数。
大道芸人を見るためにたくさんの人が輪を作っていて、少しでも足を止めようものなら金を要求してくる。
近くには大量の屋台がうまそうな匂いと、湯気を漂わせている。
客引きのお兄ちゃんたちはさまざまな日本語を使って手を引っ張る。
中には強引に前に立ふさがるものや、ひわいな日本語でなんとか注意を引こうとする者もいる。

なるほど。確かにうざい。
でもなかなか面白い。

マラケシュでは特に観光を楽しんだわけではなかった。
迷路のような旧市街、メディナをほっつき歩き、モロッコ特産のかわいらしい(らしい)雑貨品の数々を眺めてみたり、適当な屋台に入って砂糖のたっぷり入ったミントティーを飲んだりした。

物価は安い。飯もうまい。特にタジンという、野菜やら肉やらのごっちゃ煮が気に入った。日本の肉じゃがを思い起こさせるのだ。
宿も、最初大学生たちとともにルーフトップで格安(500円程)で泊まっていたのだが、この時期モロッコはかなり冷える。
ジャンパー着用、毛布かぶってもまだ寒く、さらに雨が降ってきた。死にたくないのでやっとこさ普通の部屋に転がり込んだ。
旅行に対するアプローチは人それぞれだが、自分は最近30歳になったことで、若干の心境の変化があった。
以前までは野宿すら平気で、かなり野生児のような人間だったのだが、三十路をむかえ、なにかといい大人なんだし、、。と、いまさらの感情が沸くようになってきた。といってもチャレンジ精神が衰えたわけではないのだが。
今回も、大学生とともに風雨にさらされていた時に、ふと惨めさを感じてしまったのである。
気にするところではないのだろうけど。

真青な空の向こうにアトラス山脈がみえる。
そこを越えてゆくとサハラ砂漠がある。
それまで砂漠に興味はなかったのだが、突然あの空の向こうはどんなんなのだろうかと思い始めた。
サハラ砂漠に向かうことにした。