宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

サハラ砂漠。星空をラクダでゆく。




アトラス山脈を越えたワルザザードというまちで一泊した後、強行で砂漠へ行った。
当初は行くつもりがなかったのだが、アトラス山脈を越えた辺からサハラの方を眺めると、ぼうっと砂漠色の大地と青空が交わっていた。
それを見ていると急に行きたくなった。

アトラス山脈沿いにエルラッシディアという街まで8時間、着いたころにはもう夕方で、日程上今夜中には砂漠に着いておかなくてはいけない。
サハラ砂漠まではまだ100キロほどはあったのではないだろうか。

エルラッシディアでバスを降りると、すぐに客引きがやってきた。
その客引きの宿屋で、砂漠ツアーの交渉をする。
これから砂漠まで100キロほどタクシー使っていって、夜のサハラをラクダでさらに2時間、そこで飯食ってテントで一泊して、朝日を見て、またラクダで戻り、朝食を取って、バスターミナルのある街まで車で送る。
このプランで当初1300DH(約15000円)要求してきた。
高い。
マラケシュからでも2泊3日、950DHのプランがある。
しかし行くのなら迷っている暇はない。
なんとか900DHまで値下げして、砂漠へ強硬突破した。

エルラッシディアは大雨が降っていた。
が、砂漠が近づくにつれ、雨はぴたりとやみ、満点の星空が広がってきた。
エリッサという町でさらにタクシーを乗り継ぎ、メルズーガという、最後の街までさらに30分。

ポツポツと荒野の中にホテルがある。
そのうちの一つに車は止まり、バックパックを置き、今度はラクダに乗り換えた。

辺は真っ暗で、星空が主な照明になった。
暗やみのせいで、砂漠の起伏がつかめない。
ラクダの動きに合わせようとするのだが、そのラクダまでつまずく。
先導してくれているベルベル人のお兄ちゃんは迷うふうでもなく、ライトを片手に突き進んでゆく。
ラクダに乗っての2時間は思った以上にきついもので、手には豆ができた。
しかしながらその星空。
降るような星空であった。
インド北部の高地、ラダック地方で見た星もすごかったが、サハラの星も劣らない。
真っ黒の境界線から白い斑点の星空が広がっているさまは忘れられない。
テントで,好物となったタジンをいただき、眠った。

次の日の朝はあいにくの雨。気温は寒いくらいだ。
しかしホンモノの砂漠の起伏が見れたことは良かった。
自分の中で鳥取砂丘が[砂漠]だったから、ずいぶんスケールが広がった。

惜しむべきは時間だろうか。
サハラ砂漠やその周辺だけで一周間かけてもよいのではないかと思う。
同じメルズーガには評判のよい日本人女性経営の宿もあるし、なーーーんにもない広大な砂漠は、見てるだけでゾクゾクしたからだ。
行かれる方は、是非ゆっくりと。