宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

イスタンブール。西と東の交差点を歩く。




 早朝のイスタンブールは肌寒く小雨が降っていた。
 ボスポラス海峡も薄暗い印象を残してくれる。

 巨大なバスステーションから抜け出すことができず、ついにタクシーに頼った。
 整備された高速。ちょこまか動くメーター。
 あっという間に3000円近くにまで上昇した。
 トルコの物価の上がり方は半端ではないらしい。
 ガソリン表示をみると、レギュラーで300円近い値をつけている。
 物価の上昇もしかたないか。

 イスタンブールボスポラス海峡をはさんでアジア側とヨーロッパ側に分かれている。
 そして車はヨーロッパ側にきている。
 ついにヨーロッパ。
 町並みは格段に美しくなり、整備されている。
 海洋にかかる大橋からは巨大なモスクや宮殿、教会が見える。
 330年に遷都されて以来、歴史の主役であったといっても言い過ぎではなさそうである。
 ヨーロッパの町並み、中東的な服装やアザーン
 いろんなものが混ざり合っている。

 イスタンブールを歩き回るのは楽しかった。
 中東の人懐っこさも残しており、気さくに声をかけてくる人や、例によって「チン、チョン、チャン!」とおちょくってくるガキあり。
 海まで出れば、塩のにおいと釣りえさのにおいが懐かしさを伴って漂ってくる。
 ぎっしりと横一列に並んだ並んだ釣り人たち。そのバケツや、口を切ったペットボトルの容器には小魚がぎっしりと詰まっている。
 そのすぐそばで、露天商はサバの開きをを網焼きにして、パンと野菜を挟み込んでサバサンドをこしらえている。
 大阪みたいな雰囲気の街だと思った。
 気取る必要もなく、思い思いに楽しめる。
 人も適度に親切。
 公園にいると商売目的以外で日本語使ってしゃべりかけてくる奴がいる。
 パリッとしたスーツ姿の奴もいれば、ジャージでうろついてる奴もいる。
 ごっちゃごちゃしてるけど、洗練された歴史もある。
 居心地抜群。
 酒も安い。
 歴史以上に雰囲気を楽しむことができた。

 面白かったのは、ヨーロッパ側から来た旅人と、アジア側から来た旅人の印象の違いだった。
 ヨーロッパから来た人から言わせれば、「まさにアジアに入った。」という気にさせるのだそうだ。
 物価もまたしかり。
 さらにはイランや中央アジアシルクロードを通ってきた旅人も集まっており、旅人までもごちゃごちゃしている。そしてさまざまな情報を交換するのだ。
 時代がグローバルに移り変わろうとも、イスタンブールの地理的な重要性は変わらないようだ。