マドリード。ちゃんと美術館とかもまわってみる。
基本的にマドリードではだらりとのんびりと楽しんでいた。
街並みは実にヨーロッパしていて、バルセロナ好きからいわせると、こんなもん味気なくてつまらんらしい。
しかし広場にはなにやら一発芸をして稼ぎを得ている人達とか、バールではサッカーの試合が展開されているブラウン管(古いか)に向かって野次を投げつけている親父とかを見ることが出来て、それなりに面白い。
どんな巨大な街でも、生活のにおいを感じる場所を見つけるとなんだかほっこりとするものだ。
かといって、マドリッドでただダラダラしていたかというとそんな訳でもなく、なんとなく美術館に行ってみたりしていた。
お目当ては、ピカソのゲルニカ。
まあ、これしか知らないのだけどね。
マドリードのソフィア美術館かの有名なこの絵はある。
夕方17時以降入場無料という情報を聞き、目ざとく美術館を訪れた。
2階にあるゲルニカ展示の部屋には人だかりが出来ていた。
その絵は白と黒のコントラストのような絵で、縦3メートル、横7メートル。思っていたよりもずっと大きかった。
ゲルニカ。1937年パリ万博に出展された絵で、スペイン内乱中にナチスドイツ軍がスペイン北部のゲルニカの町を空爆、全滅させた。
ピカソがファシズムへの怒りを込めて描いた力作。らしい。
この絵を始めてみたのは中学あたりの教科書だったように思う。その奇妙な画風はその名前とともに記憶の端に引っ掛かっていた。
巨大な絵全体に白と黒が交互に彩られている。人の顔や動物たちはやけに立体感を持って、嘆きを表現しているように感じた。
表情も生々しく、執念を感じる。
ほほう。まさに大作。
美術2だった俺でもなんとなく凄みが伝わってきた。
周りには熱心に眺めすぎて座り込んでしまう兄ちゃんあり、おすまし顔で腕組んじゃったりしてる女性あり、からまってるカップルあり。
俺はというと、うーーむ、、、なんて知ったかぶりを決め込んだりしていた。
残念なことに他の作品は一切覚えていない。情けないことに。
モデルのような美人を見つけて、K君と中学生のようにきゃーきゃー言ってたくらいで、絵どころではなかった。
そしてこれも有名なプラド美術館。
こちらも夕方からの無料サービスで入場。
むさくるしい日本人男3人で仲良く列に並ぶ。
そして一時間後には退場。
ゴヤの絵だけ覚えている。
なんか怪物が人を食っているやつ。
だってねえ、プラド美術館なんてあんたでかすぎるよ。
あんなもんまともに観れば3日間はかかるのではないか。しかも大半は貴族の肖像画だったり、キリストがぐったりしている絵であったりなのだ。お腹いっぱい。
1枚3秒というルールを設定してまわっていった。
アカデミーなんちゃら美術館にも行った。
マドリードの中欧公園でコーヒーをかましていると、肌寒さから強烈な尿意を催した。
その日は水曜日で、近くにあるこのアカデミーなんちゃらが無料入場できるのを思い出し、駆け込んだ。
こちらも1枚3秒ルールをしっかりと守り、係員も驚きのタイムで絵を見終わった。
うーーむ。絵の世界は奥深い。バチあたるね。こんなんやってたら。