宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

ダマスカス。世界最古の街を歩く。




ダマスカスは魅力的な街だった。
現存する最古の都市の一つで、紀元前3000年よりこの地に栄える。

旧市街の方へ向かってゆくと、まず城壁が見えてくる。
入り口を探してさらに近づいてゆくと、巨大なアーケード(スーク)の入り口がパックリと大きな口を開けている。
500メートルに渡って様々な焦点が展開されている。
それは大阪天満の商店街や、香川県高松市の駅前商店街をおもわせる。
骨董品や色とりどりの布、日用品、物売りの人、黒いローブに包まれ、急ぎ足で行き交う女性。

雑多なそのトンネルを抜けると、白くて高い壁にあたる。
世界最古、ウマイヤドモスクの入り口だ。
左どなりにあるチケットオフィスで拳を買い門をくぐる。
と、思わず感嘆の声をあげた。

まず目に飛び込んでくるのは大モスク。壁面には壮観な紋様が描かれている。
中学校のグランドほどはありそうな床は大理石のようだ。光をうけて輝いている。
人々は日陰に腰を落とし、子供は湯y可能へを床のうえをスケートのように滑って、はしゃぎ合う声がモスクに響いている。
さらに中に入ると、かなりの大きさの広間になる。中央には棺らしいものがあって 、人々は熱心な祈りをささげている。
その後ろの壁の方向はメッカの方向だ。時間になるとひざを折り、手と頭を地に伏せて、祈る。
休憩がてら2時間ほどそこに座り、このモスクを味わった。

モスクを出て奥へと進むと、迷路のような路地の街に迷い込む。
時折ムスリムの女性や、宗教服に身を包んだ男性とすれ違うと、いつか分からない昔にタイムスリップしてしまったかのような気になる。
迷いつつ歩き、[まっすぐな道]にでる。旧市街を東西に1キロほど貫いている、文字どおりまっすぐな道。

威勢のよい呼掛けに振り返ると、その声の主はフルーツジュース屋のにいちゃんだった。
ちょうど喉が乾いていた。日中の日差しは相変わらず厳しい。
80円ほどのミックスジュースを頼むと、ビール大ジョッキのグラスに赤色のミックスジュースを並々と入れてくれた。
口に流し込むと、最初はイチゴのような酸味の強い甘味がきて、後からバナナのまったりとした甘さが残る。
メチャうまい。
おっと、今はラマダン中だった。と思って辺を見たが、別段変わった様子はない。みなチャイなど飲んでいる。
いつの間にかキリスト教徒地区に入っていたようだった。

キリスト教徒の数も少なくないだろう。それにウマイヤドモスクは元は教会だった。それをモスクに造り変えたのだ。歴史の激流地であったことがうかがえる。
夕方6時になると、スークの店は一斉にシャッターを閉める。
ほとんど人気がなくなったころ、ダマスカスの街にアザーンがこだまする。
そして6時半ごろに、[ドーーン!!]という大砲の音がうなり、一斉に食事が始まる。
みなそれぞれの家で御馳走に舌鼓を打つ。

日が落ちるとカシオン山の方面は住宅の灯で美しい夜景を見せる。
本当に面白い街である。