エルサレム。自治区に行って、考えた。
イスラエルはやっぱりよく解らない。
ひとつの国の中に、ふたつの国がある。イスラエルとパレスチナ。
お互い存在を認めていなくて、おんなじ輪郭をした地図も、パレスチナ地図とイスラエル地図がある。
ヤドヴァシムという、ナチスによるユダヤ人大虐殺を扱った立派な博物館がある。
ヒトラー政権の誕生から、600万人にいたるユダヤ人大虐殺の詳細を知ることができる。
ユダヤ人たちの執念の結集ともいえる。
そのユダヤ人国家イスラエルによる隔離壁に苦しむ、小さなパレスチナの村へ行った。
今でも日常的にパレスチナに対する暴力的な追い込み、追い出し。隔離による経済分断。
そこかしらに設置されているチェックポイントのために、彼らは20キロ離れたエルサレムに行くこともできない。家族を分離させられた人もいる。
町長さんは、この苦しさは、原爆を落とされた日本人ならわかってくれるだろう。と訴える。
若者は仕事がなく町にあぶれている。失業率80パーセントにのぼる村もあるらしく、やり場のないうっぷんを感じた。
金をおろしにユダヤ人の新市街へ坂道を登る。
美しく大きな市役所。ヨーロッパのような町並み。カフェやパブがにぎやかだ。
金を財布に突っ込み坂を下る。大通りなのに人気のない道を200ほど下ると町は雑然としてアラブ人だらけになる。
そしてパレスチナ地区の物価はイスラエル地区の2分の1だ。
イスラエルの若者には兵役の義務がある。
休日でも銃を携帯しなければならないらしく、私服にライフルという異常な光景を目にする。
兵役を終えた彼らはよくアジアを旅行している。
パーティーとマリファナ好きが多い。
騒ぎまくって、何かを忘れたいのか。
イスラエルの野望はどこまで行くのか。
公園にはかわいらしいユダヤ人の子供たちがはしゃいでいる。
これから彼らはあたりまえに人間を疑い、差別することを学ぶはずだ。
子供らはどんな風に成長してゆくのか。行く末が恐ろしい。
写真1 パレスチナ自治区の子供。
写真2 町で唯一稼動している石材加工場。
写真3 笑顔のおっちゃん。