宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

星野道夫

旅に出る直前、母が買ってきたこの本を、中国の寝台列車の中で一気に読み終えた。作者は長年アラスカに住む写真家で、アラスカでの生活の中から感じとる自然の大きさを想像し易く文章に落とし込んでいる。その風や切れるような寒さ、自然の脅威と尊厳を感じ取れる。[旅をする木]は、その文中のなかにあるトウヒの木の一生について語った一文のことだ。種から始まり、成長して立派な木になり、川に流され、打上げられた浜のランドマークとなり、人間の煖炉の燃料として使われて一生を終え、気体となって新たな旅をする。筆者自身熊に襲われて命を落とす。その大きな自然を感じるために、何度か繰り返して読みふけった。