宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

チェンマイ、ピクニック日和。




 
 動物園へ行ってきた。
 チェンマイの北西、中心部から約5キロほどの山のふもとにある。相棒、ママチャリをこぎ、坂道を汗だくになって登った。
 なかなかでかい動物園だ。いや、でかすぎる。というか、もうちょっとコンパクトにできるやろ。檻と檻のあいだがえらい長えの。坂道も多くてちょっとしたトレッキング気分である。
 汗だくになってばてていると、そのすそを派手なバスみたいのが通り過ぎる。ああ、これ乗ればええんね。お客さんはもちろんタイ人の親子連れが多い。隣の子供が人懐っこくくっついて来る。暑いけどかわいらしいから許そう。
 たいがいの動物たちはこの日差しの中、お客にパフォーマンスを見せる余裕は持ちあわせていないご様子。それでもサルのコーナーでは、ある二匹のサルが、何とか高い塀を乗り越えて、隣へ移ろうとたくらんでおり、幾度もチャレンジを繰り返していた。
 ダッシュして壁に飛びついたり、木の棒を壁に立てて登ろうとしたり、時折二匹でこそこそ話してる風だったのが実に楽しかった。というとサルに失礼か。あいつらは多分真剣だったから。
 「スッタフオンリー」のところに知らず知らず入っていて、鹿の集団が真横を通り過ぎた。あれ?放し飼いですか?違った。前から車でおっちゃんが笑いながら来て、「ここ入ったらあかんやん。」ということに気づいた。スッタフオンリーっつても、どこが境目かぜんぜん分からん。おっちゃんもさして気にしない様子だった。
 何というか、のんびりしている。家族づれも、外国人観光客も、店の人間も。「人」なんでしょうね。表情がゆるーい人が多くて、心が和む。タイのええところです。
 
 動物園をでてさらに山を登って、フアイケーオ滝という公園へよった。ここはさらにのんびりしていた。滝を中心とした水遊びの公園で、みんなゴザ持参でビールと食料広げて食ったり寝たり川に入ったりして過ごしている。その楽しそうな雰囲気に思わず俺も川へ足をつっこんだ。水は少々汚かったがかまわず顔を洗う。冷たくて気持ちいい。
 30手前の男が一人で動物園と公園をお散歩である。少々危険というか、今日びの日本でなら通報されかねない。池田小学校の児童殺傷事件があってから、町で子供に気安くしゃべりづらくなった。23、4歳の神戸にいたときにガキとボールでもけろうかと思ってしゃべってると、若いママが「知らない人と喋ったらあかんやろ!」と言って、ガキを連れ去ることがあった。それ以来、日本では子供になんとなーく喋りかけづらい。もちろんそんなんばっかじゃないけどね。
 
 タイは日本と似てるところが多いと思う。日本の企業も多いし、車も右ハンドル。町の様子は日本とさほど違いがない。
 国民性は少し違う。タイの人はその国の歴史や外国人の多さからか、いろんなものを受け入れてゆく大らかさが感じられる。それがイラッとすることもあるんだろうけど、俺にとってはかなり心地の良いものなのだ。
 ええやん、ほどよく適当でいこうや!そんな気分にさせてくれる。

写真1  動物園入り口。なぜか記念撮影が多かったのでつられて一枚。
写真2  ダチョウ。とぼけたツラ。口がゆるいやつ。
写真3  滝。