宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

アンマン。みんな優しいです。




アンマンは新しい。

 1929年に首都となった。
 そのせいか、他の中東の都市にあるであろう歴史の重みは感じない。
 真新しいブロックの住宅が丘にひしめき合っている。
 町の色は単調で、クリーム色の荒い土地と同化している。

 古い建造物といえば、ダウンタウンの近くにあるローマ劇場で、2世紀に造られたものだという。
 古代の見ものといえばそのくらいで、町は凹凸のないきれいなアスファルトオフィスビルが建つ。
 ダウンタウンを見下ろすように、丘の上には一泊40万円の巨大なホテルが建つ。

 物価は日本の4分の1くらいだろうが、アンマンを見る限りでは貧しさは全く感じられない。
 石油資源はとれない。水資源も少ない。
 そんなこの国の経済の中心は農業と鉱業だ。鉱業は死海でとれるリンが主なよう。
 そしてヨルダンの人々は実に紳士的。
 日本人に対しても好意的な感情を受ける。
 人々は押し付けがましくなく親切で、地図を持ってウロウロしていると、
 「Can I help you ?」
 とさりげなく声をかけてくれる。
 モスクの近くでくつろいでいると、中に入れてくれようとしたり(ムスリム以外だめだったけど)、コーヒーをふるまってくれたりした。

 交通マナーも非常によく、車は歩行者によく道を譲る。
 女性は髪を布でくるんだり、肌を見せないようにしている人は多いが、洋服姿で半袖のティーシャツを着たり、自由な服装を楽しんでいる女性も少なくない。
 アンマンは新しいせいなのか、イラン等ほど厳格でなく、幾分リベラルな感じを受ける。
 旅行者もアジア独特の、「僕、マリファナ吸いに来てます!」的なバックパッカーはグッと減った。
 かわりに同じ世界一周航空券(ワンワールド)を使った、世界一周組みが激増。
 今の宿には6人もいる。
 そしてやけに小奇麗なひとが多いと思ったら、会社員の人たちだった。
 忘れていたが日本は今お盆であった。

 ふと気づけばもう半年。あと半年である。マグロのごとく動き続けるつもりである。