宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

シーラーズの街とイスラーム建築たち。

テヘランのはるか南方にある街シーラーズ。

 

イラン人で知らない人はいないといわれるハーフェズとサアディーという2人の偉大な詩人の生地として有名らしい。

二人とも知りませんが。

辺りは砂漠のような地域のせいか、凄まじく暑い!日光を浴びているとぶっ倒れそうになります。ただし乾燥しているため日陰はなかなか涼しい。

そんなシーラーズ。

街をちょっと歩いた感想は、なんだか日本の地方都市みたいで、暇でバカそうな若い男連中は遠くからチンチョンとのたまってくるし、大して面白くもねえ街だなあという感じだったのですが、各所に点在しているイスラム建築等は、目を見張るものがありました。

こちらはキャリームハーン城塞。

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ザンド朝の宮廷跡なんですが、城塞の内部に入ると、緑豊かな中庭が現れます。水が豊富に流れていて、花が生い茂っています。

外部の音は遮断されていて、宮殿内を流れる水の音が響いている。なんとも落ち着く空間です。

ベンチにはカップルなんかがおしのびのような感じでくつろいでいます。表でイチャついていると、警察にしょっぴかれるらしいです。恐ろしい。

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こじんまりした宮殿には装飾やきれいな窓枠が残っていて、美しい紋様のステンドグラスなど18世紀のイスラム美術が満載。

ハマム(浴場)跡は大きく、さすが王族の風呂だけあるわい、と感心します。

そしてこれはマスジェデ・ヴァキール。1773年に建てられたモスク。

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入り口を入ると、広い空間に色彩豊かなモスクが現れます。

近づいてみると、これがまた美しく、細かい。ここにあるような花や木を基調とした紋様は、ほかではあまりないのだとか。

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とにかく細かさに感動です。ため息が漏れます。

内部には大きなホールがあり、48本の曲がりくねったデザインの柱が並んでいます。

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イスラームの建築というのも、一口で言えないほど多様な形式があるのだということが分かります。専門知識があるわけではないのですが、モロッコ、エジプト、ヨルダン等で見たイスラム建築は比較的地味だったように思います。

またスペインのアルハンブラ宮殿のように、色彩は多彩ではないが、幾何学模様と、建築上の工夫が他には見られないようなものもあります。

シリアやイスラエル、トルコのモスクもまた違うし、その風土の歴史や、時の支配者によって、何重にも描かれた油絵のように、多彩で色濃いものであることがわかります。

イスラムの宗教的解釈も国によって全く違っているし、日本でメディアを通して伝えられる姿のみ信用するものではないなあとか、思ってしまいます。

そしてこちらはこのモスクの隣に縦長に続いているバーザール。

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ペルシア絨毯や日用品がずらりと並んでいて、地元の人々で大賑わいです。アーケードのようになっていて、とはいっても天井はしっかりしたレンガ造り。灼熱の太陽を遮断していて、なかなか涼しいのです。

そのバーザールを数百メートル南下してゆくと、シャー・チェラーグ霊廟にやって来ます。

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あまり感じることがない、イスラムの熱気を、ここでは感じることが出来ます。

内部の写真撮影は厳禁で、入り口で荷物を預け、女性はチャドルの着用が義務付けられます。男女別のセキュリティーを抜け、門をくぐると、広大な敷地へ入ります。

835年に殉教したエマーム・レザーの兄弟であるセイエド・ミールアフマドの棺を内部に安置しています。

イスラムシーア派の巡礼地として重要な土地のようです。

大きなドーム型の建物が二つ。内部は鏡張りになっていて、中心に厳重にガラス張りされた棺桶が。その棺桶を二等分するように壁が築かれ、男女別で拝めるようになっています。

人々は熱心にお参りをしていて、ふざけたことをしようものならただでは済まないような熱気があります。とはいっても東洋人に興味津々の人々は親切に話しかけてきてくれますが。

サッカーグランド4つ分はありそうな土地でたいそう驚いたのですが、マシュハドという地のエマーム・レザー霊廟は、この3倍くらいのものらしいです。想像できません。