宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

イランというお国。

イランという国ですが、これがまた面白い国でした。

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男子と女子は激しく区別されていて、女の人は髪の毛や肌を見せちゃいけない。女性の権利は著しく低いのではないのかねえ、なんて思っていたのですがね。

イラン滞在中、話しかけてきた人たちの8割がた、女性。これは他のムスリム圏ではありえないようなことなのではないでしょうか。

男どもはというと、せいぜい数人で「チン・チン」しか言えない連中が多くて、明らかなバカが多かった。同じ男として、残念な限りです。

聞いた話では革命後、男女平等の教育機会を与えたところ、女性のほうがデキが良かったらしいです。

日本にいたころなにかの記事で、イランでは女性は車の運転すら許されていない!などという記事も見かけたのですが、スカーフ巻いてサングラスとかかけてバンバン運転してます。

バスの運転手やタクシー運転手の女性も見かけます。

テヘランに夜行バスで到着し、ターミナルから安宿街へ向かう市バスの中で、一人の女性と知り合いました。

バスでまごつく私らに的確アドバイス。広場に着いた後もわざわざホテル探しまで手伝ってくれました。

そんな彼女は国営の銀行で働くキャリアウーマンで、その後再会したのをきっかけにすっかりお友達になってしまいます。

南部のシーラーズからエスファハーンという町へ向かうバスの休憩中に話しかけてくれたのもメチャキレイで上品な女性で、英語はほとんど話せなかったものの、その人の父上が日本に8年居たという人で、結局その家庭に1週間滞在させてもらうという、どえらい経験をさせてもらいました。

男性はバカが多いと申しましたが、親切な人も飛び切り多かった。

仕事中にも関わらずメモ帳に数字の読み方書き込んでくれた食堂の兄ちゃん、便所を譲ってくれた大学生の兄ちゃん、公園で挨拶しあった男子小学生集団。

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旅行した32カ国の中で、イラン人、一番親切にしてくれました。

他の国の人間があまり来ないせいなのか、単にみんな暇なのか、韓国ドラマのジュムーンが大流行のせいなのか、理由は良く分かりませんが。

でも店の人間は大体がふてこい。どうやら売り手が強いようです。

物価の上昇具合は物凄くて、公園で話をしたイラン人とクウェート人の家族は、ここ3,4年で3倍~5倍に上がったとの事。

特に顕著だったのはホテルの価格です。4年ほど前のガイドブックを持っていたのですが、例えばそれで5ドルのダブルルームが掲載されていたとします。現在では20ドルに跳ね上がっているのです。

最も、交通機関の料金はさすが石油産出国で、めっちゃ安い。

市バスは2円~20円、長距離バスは、900キロ、15時間乗って1000円ほどです。どえらい安さ。

しかしやはり激しい物価の上昇はイラン国民を締め上げているようで、ある人の話だと子供を養う為に3つの仕事を掛け持ちしなければアパートの家賃が払えないのだそうです。

そんな中この前の大統領選挙。現大統領は圧倒的多数の得票率によって再選を果たしたようですが、これがどうやらとんでもないインチキのご様子。

会った方々は一様に対抗馬のムサビ氏に票を投じたらしいのですが、、、。

そんなこんなで首都テヘランでは大規模のデモが連日起こっていたのです。

日本でどういった報道がされていたのかは分かりません。

あるとき街を歩いていると、物凄い数の軍用ジープが横を通り過ぎて行きました。一台に10人以上乗せた中の兵士たちは盾に機関銃のようなものを肩にぶら下げ、緊迫した面持ちでいました。

その時はその隊列をのんきに眺めていていたのですが、後にイランの大学生に見せてもらった映像をみてたまげました。

大きな広場に何万人集まっていたのかというくらいビッシリと埋め尽くされた人、人、人。

その人々に向け、発砲する軍隊。その大学生が手に入れたという映像では、女性が首を撃たれ息絶える映像、棒で殴り殺された男性の映像などが生々しく記録されていました。

政府は情報統制をしているはずです。ユーチューブも見る事は出来ません。しかし、この高度な情報化社会のなかで本当の出来事を隠し通す事は困難なことなのでしょう。

ショッキングな映像を見た後に、その広場を通りました。

店は通常通り営業していて、通りは買い物客であふれていました。普通に生活していました。

人々が、変革を求めているように感じます。自由が欲しいと言っています。髪を隠さないと逮捕されるなんて馬鹿馬鹿しい時代錯誤と多くの人は思っているようです。

日本で手に入る情報やニュースの一言は、ほんの断片に過ぎないものです。例えば「貧困」とかそんなワードを見つけ出しては、日本は豊かな国です、だから何か手助けを!みたいなのは違和感を感じます。

その国の人たちは、自分が想像していたのよりもはるかに力強く、賢く生きていているように感じます。

いい人が多かったし。イランの人々が、他国の干渉なしに道を開けてゆくことを願うばかりです。