宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

ドゥバヤズットでノアの箱舟。

ドゥバヤズットはイランとの国境まで30キロ。

 メインストリート一本くらいのこじんまりとした町です。

 国境の町のせいなのか、やたらネットカフェが多いし、軍施設があるせいか町には装甲車があり、兵士が銃をもってうろついています。

 クルド人問題はいまだに未解決で、数ヶ月前にはPKKとの銃撃戦で19名の兵士が死んだらしい。そんなせいもあるのか、多少物々しさを感じたりもします。

 町からは雪を被ったアララト山が美しい。

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 旧約聖書ノアの箱舟の章に登場。山頂はノアの箱舟が漂着したと伝えられているところ。

 町の周辺には、ノアの箱舟の残骸があったとされる場所があり、そこへゆくのを楽しみにしていました。

 大学時代に西洋文化、とくに旧約聖書専門の先生のゼミに所属して、自分の書いた卒論が「ノアの大洪水と歴史的背景」とかそんな題名だったと思うのですが、そんなのを仕上げたことがあるからです。

 このノアの洪水伝説、神話とあなどることなかれ。

 要は神様がアダムとイブを創ってから10代目、ノアのお話で、当時人類は堕落しきってしまっていて、神様はそれを嘆き、大変に怒ったわけです。そんな連中ならば全部洪水で流してしまおうと決断するんですが、ノアとその家族はまだ善良な方だったので、生かしておいてあげようと考えた。

 

 そこでノアに、洪水に耐え、さらに善良な動物たち一つがいずつを箱舟に乗せなさいと啓示するわけです。

 

 ノアと家族は言われたとおりに巨大な箱舟を造り、動物をいれ、そしてすさまじい大雨の後大洪水があたりを覆うわけです。

 数ヶ月水に揺られ、漂着したのがアララト山で、そこからノアの子孫、セム・ハム・ヤペテから民族が広がっていったという伝説です。

 聞いたことはあると思うのですが、自分が最初に聞いたときにはまあ、所詮おとぎ話でしょうと思っていたのですが、卒論を進めていくうちに、あながち嘘な話ではないと思うようになっていたのです。

 

 この旧約聖書創世記の洪水伝説にはオリジナルがあるといわれていて、それがギルガメッシュ叙事詩という古代オリエントで広く流布されていた神話に酷似していたのです。

 古代オリエント、シュメールは紀元前3800~3000年、聖書はイスラエル王国の時代(紀元前1000年ごろ)から1000年かけて編纂されていったもので、神々の話であるギルガメシュ叙事詩の一部を、ユダヤ教のような一神教の教示にあうように編纂されていったと考えることが出来ます。

 

 さらに古代オリエントではチグリス、ユーフラテスの川に挟まれていたので、洪水が起こるとかなりの被害が起こりえるし、古代の中東世界で大規模な洪水が広範囲に起こったことがあると裏付けるような地層も発見されているらしいです。

 こういった神話が現代の中東世界、そしてユダヤ、キリスト、イスラームの宗教思想と関連していたことを創造すると、なんだかワクワクしてしまうのです。

 そんなわけで、半日ツアーに参加して、ノアの箱舟あとをみてきました。

 実際にはアララト山の見える別の山の上にあり、砂利のはげ山を車で登ってゆきます。

 1985年、阪神優勝の年にアメリカ人研究者によって発見された箱舟跡。

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 うーーん。確かに箱舟っぽい、、、、?

 いや、やっぱり強引か?

 近くにはこの研究者を案内したらしいじいさんが、激ショボ博物館をやっていて、ばっちり写真を撮らせてもらいました。

 科学的根拠は認められなかったらしい、箱舟跡。それでも歴史ロマンは尽きませんねえ。

 半日ツアーはこのほかに17世紀に建てられたイサクパシャ宮殿、イランとの国境ギリギリにある隕石墜落現場などを周りました。

 イサクパシャは工事中であまり見回ることが出来なかったのですが、当時のどでかい宮殿の空気は感じることが出来き、ドゥバヤズットの町や周辺のパノラマが綺麗です。

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 メテオホールは以外に小さかった、、、。が、60メートルの深さはなかなかのものでした。

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 イランの国境ギリギリのせいか、トルコ、イラン両側の兵士がライフル片手にフェンスを挟んで向かい合っています。緊迫した空気。おちゃめに写真なんて撮れない雰囲気。

 メテオホール行くには旅行代理店を通すのが確実っぽい感じです。

 夜はこの旅行代理店が噛んでいる山頂のペンションで一泊。

 10リラと安く、夕焼けや夜景が素晴らしかったのですが、、、。部屋が超クサイ。最低。キャベツが腐った臭いが抜けない部屋でした。それにあるといったはずの送迎の車もナシ。タクシーで街中まで帰れですと。クソ宿が!

 

 そんなキャベツ臭を鼻に残したまま、イランへ向かいました。