トリニダード。
サンタクララは何もない町だったので、一泊で次の町、トリニダードへ向かった。
サンタクララはキューバの島の中央部分にあたるのだが、そこからさらに3時間ほどバスで下る。
キューバを訪れる前は島の大きさというのはまるで実感とがなかったのだが、背丈よりも高いサトウキビしかない、何もない道をバスでひたすらすすんでゆくのである。
実際、広い。
計10時間ほど道を進んでも、島の半分にも到達していない。
こんな広い島を十数人で「革命」しちゃうんだから、カストロやゲバラにカリスマ性があるのは当然のような気がする。
ハバナでは雨季のために快晴というのはなかなかお目にかかれなかったのだが、南部に下るにつれ、晴れ間が広がってきた。
ただっ広いサトウキビ畑にペンキのような青の空が張り付くように広がっている。
そんな雄大な景色を眺めつつ着いたトリニダード。
ここがまた美しいところ。
スペインの植民地時代に造られた石造りの道やピンクや緑のカラフルな家が規則正しく並んでいる。
ウルグアイのコロニアルというところで似たような町並みを見たが、あちらは世界遺産用に町の先端部がそれとわかるように整備されていたのに対して、トリニダードは当時のまま、生活が息づき続けている。
強烈な日差しが情景からカラフルな家々を浮き出している。
そして石畳の道に子供らは広がって野球をしていたり、おじいちゃんが軒先で座っておばさんと話をしていたり、油絵のモチーフになっていそうな景色を楽しんだ。
夜にはお祭りがあった。
小さな町の中心ではサルサやバレエなどの催し、その間にちょくちょく挟まれるMCと演歌歌手。
ローカルな祭を全開でやっていた。
その傍らではサルサのバンドがすばらしいリズムの音楽を奏でていて、老若男女が手を取って踊っている。
なぜか俺も誘われて少々踊る。
深夜になっても祭は終わらない。
宿の近くの広場では、ハイスピードなジャズ、サルサ、レゲトンが流れ、ものすごい数の若者が踊っていた。
外国人、まして東洋人が少ないせいか、歩いているだけでなんらかのカラミがある。
金をくれという兄ちゃん、踊ろうというおばちゃん、今夜いくらだという姉ちゃん、英語がしゃべれるって言うのに「名前はなんだ?」しか知らないおっちゃん。
共通していたのは、みなラムでへべれけだったということだ。
彼らから「サケ」と「踊る」という習慣を抜き取るのは難しいだろうなあ。
次の日には自転車で片道20キロ、ビーチへ行ってみる。
ただっ広い道を汗だくでこぎ、馬車を抜いて、車に抜かれて1時間半、メチャクチャきれいなビーチへやって来た。
真っ白い砂浜にエメラルドグリーンの海!
人も少なかったので、水着がないために思わずフル○ンで海水浴してしまった。
帰りには屋台で巨大ベーコン定食80円で満腹になり、おなかも満足。
なんか別のキューバを発見したような気になった。