宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

プーノ。チチカカ湖を拝んでみる。




 右側の車窓に広々とした湖面がある。

 ボリビアのラパスから、ペルーのプーノへ向かっていた。
 バスに乗っているはずが、なぜか乗せられたのはバンだった。
 乗客数があまりそろわないと、バスからバンへ変えられるらしい。
 
 一時間ほどでチチカカ湖が見えてくる。
 どんよりと曇っていて、時折思い出したように雨がちらつく。
 チチカカ湖は標高3800メートルにある、琵琶湖の10倍以上の面積を持つ巨大な湖だ。
 ペルーとボリビアの国境をはさんでいて、60パーセントがペルー領、40パーセントがボリビア領となっている。
 この湖周辺で古代から人類が生活していたらしい。
 
 国境の街は湖畔にあり、屋台が立ち並び、各方面へ向かうバスが激しく出入りしている。
 国境ならではの賑わいがある。
 
 プーノの街はそこから1時間半ほどで到着。
 チチカカ湖にはアシの草の浮島で生活している人々がいる。
 
 ツアーに参加してそこを訪問した。
 浮島はプーノの街から30分くらい船で行った沖にあった。
 野球のダイアモンドほどの大きさの島は、すべて水草を継ぎ足し継ぎ足しで造ってある。
 収入源は湖でとれるトルーチャというマスや、捕まえた水鳥らしい。
 島の真下は水深15メートルほどはある。
 
 浮島の上で、インディヘナのおばさんたちはお土産用の編み物をしていた。
 すべて水草で造られた家の台所を、猫の親子が物色している。
 島と島は、流されないようにロープで固定されている。
 迫りくるスペインの支配からのがれるためだったのか、それとも古代からこのスタイルで生活を営んできたのか。
 
 船はその場を離れて、また違う土着民族が住んでいるという、タキーレ島へ向かった。
 丘へ向かう階段では、地元の島の子供たちがお土産物を売っている。
 はしゃいでいる子供らに「オラーー!」と声をかけると、恥ずかしそうに笑いながら返事をしてくれた。
 どの国の人も、笑顔はやっぱりいいなと思う。
 
 丘の上のレストランで昼食をとっていた時に、ペルー人カップルと仲良くなった。
 リマで英語の教師をしているらしく、なるほど達者な英語で話しかけてくれた。
 リマに来た時には、ぜひ連絡してほしいと言ってくれ、メールアドレスを交換した。
 時間の都合で結局連絡することができなかったのだが、彼らは何度か連絡を入れてくれていた。
 
 夜に街に帰ってくると、花火が打ちあがり、ブラスバンドが列をなし、正装した人々が音楽に合わせて踊っていた。
 それらは徳島の阿波踊りのように、連を組んでいた。
 街は22時くらいまでにぎやかで、もうすぐ1年の旅になろうとしているのに、いまだに夢見心地から覚めていない自分がいた。