宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

ウスアイア。上野山荘と軽いエクササイズ。




噂の上野山荘へ向かってみた。
ウスアイアは自由港で人口4万人を超す街としては世界最南端なところ。中心部は観光客向けのレストランが建ち並び、土産物屋があり、旅行代理店は南極行きのツアーを20万から40万円ほどで売り出している。

そこからバスで20分ほど離れた住宅街の中に、上野山荘はあった。
見た感じフツーの一軒家にしか見えないのだが、きちんと日本語で名前が立てられている。
呼鈴を鳴らすと、管理人をやっている同い年くらいのカップル二人と、上野山荘のあやこおばあちゃんが迎えてくれた。
しゃきしゃきした、味のあるおばあちゃんである。

いろんな旅人がここを目指してやって来る。
宿泊者のスペースは数々の個性的な旅行者たちの写真が所狭しと並べられている。
泊まった時も、大道芸をやっている人や、南極待ちの人、チリで料理してた人、もう何年も日本に帰っていない人など、個性派ぞろいであった。
テレビ番組に取り上げられることも多いこの宿。度々収録のオファーがあるのだそうだ。
ドラム缶作りの五右衛門風呂があって、夏季であるにもかかわらず寒い外から帰ってきた身には、この風呂がたまらなくいい。
風呂何ぞ日本を出て以来10カ月ぶりだ。
湯船につかるとおもわず うあああ〜〜〜! というおっさんな声をあげてしまう。
やっぱり日本人やね。

近くにレストランもないので、みな自炊だ。夜は安いワインやビールを持ち寄って、ジブリ魔女の宅急便を鑑賞して涙する。
なにをやってんだか。
そう思うものの、たまらなく居心地が良い。犬のトゥルーチャもかなりかわいい 。

あんまりダラダラするのも何だから、自転車を借りて、国立公園まで運動することにした。
しかしこれがえらいことで、20キロの行程を登ったり降ったりしなければならない。
連日の肉とワインでブクンブクンに膨れ上がった体にこれはこたえる。

なんとか国道30号線の最終地点までたどり着き、 ブエノスアイレスから3079キロメートル、アラスカから17848キロメートルの標識を見た時には、おお、来ましたな。という軽い達成感があった。まあ、最後の20キロ以外バス移動ですが。
この距離をチャリンコで走破したり、あげくには歩いてしまうとんでもない人までいるものだから、世の中広いと思う。20キロでヒイヒイいってるあっしにゃ無理だ。

ここからの眺めも最高だった。湖が広がり、雪をかぶった山々が軒を連ね、足元には無数のタンポポが咲いている。この風景は忘れられない。
そして 帰ってからの五右衛門風呂は熱が筋肉に染み込んでさらに最高だった。

ウスアイアには4日間ほどの滞在だったが、早朝の出発にもかかわらず、上野山荘のおばあちゃんや管理人などが見送ってくれた。
いやあ、また行ってまうね。これは。