宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

プエルトマドリン。クジラと出会う。




バスがやっと着いた。海が見える。
クジラが出そうな雰囲気だ。
なんとなく。

プエルトマドリンは落ち着いた海岸沿いの街で、パタゴニア動物の宝庫(?)バルデス半島にはこの街から行く。
せっかくなんで海岸でパンとハムをかじって、わざとらしく浸る。
海風が強烈でパンをもいってかれそうになる。そして空はキレイだ。
着いた日は博物館などを周り、次の日にバルデス半島ツアーを予約した。(約65ドル)

朝7時、ともにツアーに参加するKさんとバスにピックアップされ、15人ほどを乗せた車はバルデス半島へ向かう。
入場料を払い、ガイドのお姉さんはトランシーバー片手に真剣なまなざしだ。
クジラがいるわよ!予定変更して先にそっちにまわるわよ!
ということで本来先に見るはずであった博物館を後回しにして、先にクジラの見える港へと急行。
すぐさま蟹工船のようなでっかい船に詰込まれた。
船内にはすでに50人ほどはいただろうか。

船が波間にこぎ出すと、思いの外よく揺れる。船内はほとんどが西洋人で占められており、中年のおじちゃんやおばちゃんは興奮気味で、ガイドが座れと声を大にしているのに、全く聞く耳を持たない。
あーー、海落ちまっせ。ミスターチルドレンほどややこしい奴らもおるまい。
30分ほど沖にでて、エンジンを停止した。静寂の中、アザラシがそばを通る。
突然ガイドのお兄さんが大声をあげる。クジラダーー!!みたいな感じで。
皆いっせいにカメラを構える。この光景はじつに面白かった。
海面から突然潮が吹かれる。続いて小さな潮も吹かれた。親子のクジラである。
キラリと黒光する肌を並べて見せてくれる。

親子はまるで遊んでいるこのように船の周りを旋回し、時に船の下に潜ったりする。
本当に遊んでいるかのよう。
ふと姿を見失い、遠くを眺めていると、突然俺の足元の海面が激しく隆起した。
うおおお!でっけークジラが触れるところまできとる!
興奮は絶頂。やばい。

カメラのシャッタをー切りまくる俺と西洋人たち。
クジラたちはその姿を一瞥すると潜っていった。
子供に人間の存在を教えているかのようにも思えた。
ごらんなさい。ああやって海に入れない連中が嬉しそうに写真撮ってるよ。と。
最後にキレイな尻尾を海面から披露してくれ、姿を消した。

大興奮のままバスに乗りこんだ。皆写真を見せ合っている。一緒に行ったKさんはプロのカメラウーマンで、一眼レフに写されたクジラは俺の卑小なデジカメとは比べものにならん位、きれいに撮れていた。
クジラが最後に見せてくれた尻尾からしたたる雫まできれいに撮れていたもんで、Kさんの腕はもちろんのこと、一眼レフって、、、ええんやなあ、、。と実感させられた。

バスが次のペンギンコロニアルへ向かっている最中、女の子3人がガイドになにやら文句を言っている。
Kさんは日本滞在の方が少ないほどの海外育ち。英語ペラッペラの彼女いわく、女の子3人は、

あんなんつまらん!シャチはどうした!

と、金返せと言わんばかりに息巻いているらしい。
おいおい、、、。楽しんどったやんけ。何ぬかしとるねん、だいたいシャチはシーズンと違うぞ。と思っていたらどうやらイスラエリーらしかった。
納得。
こういう場面、この旅行でたまに見かける。ユダヤ人は言う。
しばらくガイドに向けて攻撃が続いたが、それまで黙っていたガイドがついに吠えた。

あたしだって10年ガイドやってるけど5回しか見たことないのよーー!!

一同沈黙。
そら、見れませんわな。
でも、、、。そんなに見れる確率低いならパンフレットからシャチの写真はずしなはれ。とか思ってしまった。

ペンギンも確かに可愛かった。アザラシは嫌がらせのように皆腹を上に向けて眠っていた。その姿は小憎たらしくもあるが可愛かった。
しかし今回はクジラのインパクトが強すぎた。あのでかい魚体(?)忘れられないな