宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

パタゴニアへ向かって。


ブエノスアイレスからひたすら バスで南下して、いよいよパタゴニアへの突入である。
パタゴニアってえとあのモコモコしたような服しか浮かんでこない。
まあともかくも、世界で最も南の街であるというウスアイアまで向かってみようかなと漠然と考えていたのである。

ブエノスアイレスのバスターミナルはアホ程でかい。
数え切れないくらいのバスが常に出入りしていて、チケットカウンターは200ブース位、ずらりと 軒を連ねている。
ウスアイアまではざっと3000キロ。
ちょっと感覚の狂う距離感である。
宿のドアにはってあったアルゼンチンの地図で、クジラが見れるプエルトマドリンという街までの距離を測る。
なんや。2目盛りやんけ。
と思っていると、1目盛りが500キロだったりする。
18時間ほどかけても、やっとウスアウイアまで3分の1なのだ。
遠いねえ。
飛行機で行けば良いのに、という数々のアドバイスを、陸は男のロマンや、といって聞く耳持たず、バスに乗り込んだわけである。それなら世界一周券なんか使いなはんなという厳しいツッコミを流しつつ、、、。

しかしあれやね。
アルゼンチンのバスはこれまでに乗ったどの国のバスよりも素晴らしい!高いだけのことはある。(プエルトマドリンまでで70ドル近く)。2階建てでシートは広いし、リクライニングはガッツリきくし、飛行機の機内食みたいのもつく。便所はもちろんついていて、フリーコーヒーが付いている。
インドよ!少しは見習ってくれ!そのかわりやたら安いけど。

バスに乗り込む直前、マドリッドで同じ宿だったKさんという女性と再開した。
彼女も世界一周券組。南米では半分近くがコレな気がする。
世界一周旅行は確実に身近になってきている。だれでも気軽に世界一周。えらいことです。
当然ルートも似たようなものになるので、あらあらこんな所で!的な再開がままにある。
女の子なんかも全く旅ズレすることなく清潔感を保ったまま世界一周してしまうのである。
そして旅行に出る前は凄まじい気合と意気込みで日本を出ていったものの、やってみるとあの気合は何だったのかと拍子抜けするほど旅なんて楽なのだ。

優雅なバス旅行は夜を越しパタゴニアに差しかかった。
辺りが明るくなるにつれて、地平線しかない大地とそれを境に伸び上がる空で風景は埋め尽くされた。
でかいでかい。朝日もでかく見える。
今までにない巨大さを伴って、パタゴニアが始まった。