宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

モンテビデオ。南米初サッカーを観戦する。




ヒマだ。
今日は日曜日。
キリスト教の方々は日曜日まったく働かない。イスラム圏では金、土、まったく働かない。日本の休日と明らかに違うのは、繁華街は軒並みシャッターを降ろし、街から人影が消えてしまうことだ。
日本でいう正月状態。これが毎週ある。

平日に見る人々は一体どこへ雲隠れしてしまったのかと思う。
ただでさえ閑散とした雰囲気のモンテビデオはゴーストタウンのようで、元気なのは照りつける太陽と、公園で青空カラオケを楽しむご婦人たちだ。
街角からはタンゴのリズムが流れてきて、踊っている中年たち。
それぞれ思い思いに日曜日を楽しんでいるように見える。

そしてファーストフード店のテレビからはサッカーの中継が。
そうだった。南米の最大の娯楽はサッカーだ。
暇に任せていたので突然観たくなった。

手掛かりの少ないウルグアイサッカー。
ネットのウィキペディアから一番の人気チームらしいナシオナルのホームページを探り当て、訳の分からないスペイン語と苦闘しながら会場を割り出した。
その会場のスペルをホステルのおばちゃんに見せると、深くうなずきながらバスナンバーの書かれた紙を渡してくれた。

指定されたバスに乗り込む。20分ほど走り、バスは住宅街を抜けていく。人影も皆無だ。ほんまにこれであってるのか?少々不安になり、隣の席に座っているサングラスをでこにかけている青年に尋ねた。しかし英語は全く通じない。
必死で`
[フットボール!フットボール!ナシオナル!]
を連呼していると、彼もまた深くうなずき、バス最前席に座っているユニフォーム少年を指さした。
さらにサングラス青年はバスを降りる際、ユニフォーム少年にスペイン語で詳細を話してくれた。やさしい。
ユンフォーム少年に連れられて行ったスタジアムは、今日日本の高校選手権準決勝でも使用しないのではないかという程の、小さく、オンボロの競技場だった。
中からは大きな歓声と太鼓を打ちならす音が激しい。
試合はすでに前半30分だった。どうりで人の気配がしないわけである。

ユニフォーム少年は
[ナーーシオナーール!]
と叫びながらサポーター席へとんでいった。
試合のレベルは、残念ながら高いとは言い難いもので、だらだらと試合は進んでいた。
そんなピッチ内とは対照的に、観客席ではサポーター同士の大きないざこざが発生していた。
選手たちは気にしていないかのようにちんたらと真剣身のない試合をしている。
ハッスルするほど白熱した試合ではないのだが、、、。不思議な光景だった。

試合は2ー0でナシオナルの勝利とあって、帰りのバスはだんじり祭りのような騒ぎっぷりであった。
窓の外ではバリンガシャン!ピーポーピーポーといざこざは続いている。
ご陽気なナシオナルサポーターは窓から相手チームサポーターに向かって

[プーター!!(FUCKみたいなものらしい)]

を連発している。そんないかがわしい言葉をかわいらしい女の子とかでもお構いなしに叫んでいるものだからおもしろい。
お祭騒ぎはバスに乗っている間ずっと続いていた。