宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

レー。ここはインドやないね。




 マナーリーから500キロ、人の気配のほとんどない険しい山道をバスで24時間。
 死にそうになりながらたどり着いたそこは、まるで違う国だった。

 レーのあるラダック地方は、行政的にはインドのジャンムー、カシミール州に属している。
 しかしこの州が他のインドの州と違っているのは歴史的にも明らかだ。
 ダラムサラやマナーリーは山間部とはいえ、おもいっきり「インド」である。
 ダラムサラの場合、インド文化圏の中にポンとある小チベットという感じ。
 しかしラダックは14世紀にチベット仏教が伝わって以来、脈々とこの地で根付き、生き続けている。
 そしてそれが土着の文化と密着している感がある。
 
 所々に僧院のゴンパや、ストゥーパが見られ、道端のじいちゃんばあちゃんはマニ車をまわしている。
 王宮の裾にはイスラム教のモスクもあり、朝、昼、夕と、祈りの時間をしらせるアザーンが鳴り響く。
 人々の顔つきは、チベット人ともネパール人とも少し違う。
 古来よりさまざまな文化、東と西の交流点として栄えていた土地のせいか、顔つきに統一性がないと感じた。
 気温は涼しい。しかし日差しは乱暴にきつい。そして乾燥がすげえ。
 パンツ一瞬で乾く。
 お肌にはうるおしゅうない日差しだ。
 
 ラダックの中心地であるレーの町は、こじんまりとしており、20分あれば大体一周でき、王宮からはレーの町がほぼ一望できる。
 冬場は雪に閉ざされ、観光客もほとんどいないらしいが、今はおもくそオンシーズンである。
 観光客でいっぱいだ。
 特に欧米人、そしてやはり韓国人が多い。
 韓国人のチョウさんの話では、今の時期、韓国の大学生は休みなのだそうだ。
 どうりで若いのが多いと思った。
 そして俺はというと、よく韓国人に間違われる。
 ランキングとしては、

 1位  韓国人
 2位  中国人
 3位  日本人
 4位  モンゴル人

 である。
 おやおや。
 30年間日本人として歩んできた足跡はなんだったのか。
 まあ別にええんやけど、たまには「インド人でしょ?」とか「オランダ人ですよね!?」とか言われても支障はない。
 
 それにしても欧米人はアクティビティ大好きっ子である。
 ビーズの稲葉ばりの短パンでテントの棒を担いではしゃいでいたり、熱心にトレッキング用の服や靴を眺め、うれしそうに目を輝かせているのである。
 
 夕方から夜にかけて、少し高台に登ってみる。
 空の色の変化と徐々に姿を現す星の姿を見ているのもなかなか感動的だ。
 あまりアクティブでない自分はこんなんで十分満足である。