キーロンからレーへ!
朝5時、キーロンバスステーションからレー行きが出発する。
疲れているにも関わらず、夜はほとんど眠ることが出来なかった。
プラネタリウムばりの夜空に興奮したせいか。
夕焼けで空が赤く染まって、徐々に青、黒へと色をかえると、星が一斉に姿を見せる。
山に囲まれているため、まるで自分が鍋の底にいて、上から黒い斑点のフタを閉じられているようであった。
早速激しい揺れを伴いつつ、バスは出発する。
道はひたすらに崖道。毎年6月から10月までしか開かないこの道は、かなりのバスが落っこちるらしい。
車幅がおよそ1台半程しかないのだが、それでもトラックとバスがすれ違えるのだから驚きである。
山をこえ、谷をこえ、川をこえる。
ところどころ、休憩を挟みながら、バスはゆっくりと高度を上げる。
山からは緑が減り、雪が頂きを覆い始める。
10時間後、標高は4000〜5000メートルへさしかかる。
と、突然体調に異変が現れ始めた。
休憩中、バスの屋根から荷物をとろうと登りおりをした際、なかなか呼吸が整わない。
それとともに激しい頭痛に見舞われた。
数時間もの間、この死のドライブは続いた。
頭が痛い。のどが乾く。ここ2日間は2時間ずつしかねていない。寝不足を激しく後悔する。
こ、、こういうのが高山病ですか!?
3000メートル以上から現れ始め、寝不足はヤバいらしい。
ローカルバスはわざわざ最高点である、標高5358メートルのTAGLANGLAに停車。
見たことのない世界。すげえよ、これは。
なんせ富士山(3776メートル)よりも1500メートルも高いんですぜ!
世界では2番目に高いハイウェイらしい。1番ってどこやねん。
しかしながらこちとら呼吸困難で半死にである。
早く降りてくれ。祈るような気持ちである。
ドミトリーで同じだった韓国人のチョウさんの顔色は、「蒼白」を越え、ザラ半紙のよう。シートにもたれたまま動けない。
隣のインド人のおっさんは目がイッちゃっている。
高度が下がっても頭痛は治らず、バファリンを服用。
20分で収まった。すばらしい薬物である。
山を下りきり、最後の数十キロに差し掛かったあたりから、道路は広くなり、綺麗になってきた。軍事施設が続いていた。
レー、ラダックは、パキスタン、中国との国境付近で、何かときな臭い。
先日もパキスタン付近でヒンディー6人が射殺されたり、パスポートを持ち歩いていなかった外国人が2ヶ月拘束されたり、中国国境を越えようとして、荷物チェックで「フリーチベットバッジ」を発見された旅行者が捕まったり、、、。
道中に何度も軍用車両とすれ違い、パスポートチェックがあり、マッチョな兵士がチベット人らしき青年を激しくどやしているのを目撃した。
レーからさらに奥地は国境が定まっていない、まさに国境紛争の只中に突っ込むことになる。
もはや戦場。おお怖い。
21時30分、ようやく、、ようやくレーにたどり着いた。
もはや自分で歩く体力もなく、客引きに連れられるまま、やっとのことで安眠を手に入れた。
翌朝目をさまし、宿の外へ出てみると、、、。
うおおお!すげえ景色!来た!レーや!
一人で大興奮である。
写真1枚目 山!谷!川!
写真2枚目 バスの上から。
写真3枚目 最高点。5300メートル。