宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

キーロン。レーまであと400キロ。




早朝3時、宿の若造を叩き起し。無理やりチェックアウトし、バススタンドへ向かう。
小雨の降る路地は街灯で思いのほか明るい。

雨の中、レーへの最後の中継点の町、キーロンへ向かうローカルバスに乗り込む。
インド人との不毛な座席争いに打ち勝つも座席が冗談のように狭い。
むき出しのボルトが足に食い込む。
強烈な揺れをともないつつ、ゆっくりと、そろりそろりとバスは行く。
雨と農務のために6時になっても薄暗い。

バスはひたすらに360度ちかいカーブを何ども曲がり続ける。
乗り物酔いする人ならおそらく15分でグロッキーだろう。
3時間ほど登り続けると、あたりの霧が薄くなり始めた。
太陽がちら見えしはじめたころ、鳥肌が立っちまうほどの絶景にでくわした。
はるか下方に切立った崖を這うように走るトラックとバス。
それを雪のかかった巨大な山々が見下ろしている。
谷底に向かって無数の滝が流れ込み、白濁の川が獰猛な波間を見せている。
山はそれぞれが一つの人格のように威厳を放ちまくっている。
なんだか、山を神として扱かった先人たちの気持ちが少し分かった気がする。
山を降ると、これまた見たことないような壮大な渓谷が突き抜けている。
晴れ間の見えた空とのマッチングがよろしい。

12時、キーロンへ到着。
バススタンド目の前の宿のドミトリー(50ルピー)に荷物を置き、街をまわる。
といっても小さな小さな街なので、20分ほどで回れてしまう。
住人の顔つきがさらにチベタンに近い。

チベット料理の屋台でトゥクパを食べる。
マトン肉を使ったシンプルな麺。わずか70円ほどのそれは驚くほどうまい。
意外とこの街、欧米人の沈没者(長期滞在者)も見られる。
屋台を出ると、段階世代日本人が5人ほど通り過ぎた。
出立からしてトレッキングか。
夕方からオープンの、レー行きチケットが取れれば、明日の5時には出発である。
この旅行で一番の冒険気分なのである。


写真1枚目 下に見えるのは幅の狭い道。
写真2枚目 渓谷と白濁の川。
写真3枚目 キーロン。まったりしたところです。