宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

アジャンター。う、、、美しい。




隆寺金堂の壁画のルーツになったといわれる、アジャンター石窟院の壁画。その美しさ。素晴らしかった。
アウランガーバードから北へ100キロ、ツアーバスで3時間ほど行った荒涼とした渓谷の崖に点々と連なるアジャンター石窟院。ツアーバスには20人ほどのインド人と、8人の日本人を乗せていた。入場料は外国人が250ルピーで、インド人は20ルピー程度だろうか。インド内の観光地の多くは外人料金をとる。250ルピー(650円)ってあんた、、、。3泊できますやん!

しかしながら、ここの壁画はそんなもん軽く凌ぐ価値をみせてくれた。
石窟は26程もあり、前1世紀から後7世紀ころまで僧院として使われていたが、それ以降イスラムの進出や様々な国家の勃興により捨てられ、1819年にイギリス人ジョンスミスに発見されるまで眠り続けていたという、ロマン度満点の遺跡だ。1983年、世界遺産登録。

特に感動したのは第1窟の、法隆寺の壁画のルーツといわれている菩薩を見た時だ。奈良に住んでいるせいか、日本にいるときから東大寺法隆寺高松塚古墳の壁画などを眺めることが好きで、よく足を運んだ。アジアを渡り歩いている時も、中国の仏教寺やラマ教の寺院、タイやベトナムラオスの仏教寺院の仏像など、数多くみる機会があったが、このアジャンターの菩薩が、奈良にある菩薩の表情に最も近い。半眼で、ちょっと悩ましく、永遠的な表情。表情の線は丸い。
その表情をみているとなんだか突然日本に戻ってしまったかのような錯覚を受けた。他の石窟院も素晴らしく、よくこれだけの壁画が残っていたものだと感動した。日本の仏教伝来は552年(日本書紀)。法隆寺で起源が607年であるといわれている。どのような形でこの[表情]は輸出され、また日本に輸入されたのか。メチャクチャ想像をかき立てられるじゃーないか!

壁画保護のせいなのか、石窟内の照明はとても低く抑えられており、カメラのフラッシュもNG。たまに光ると監視のおっさんが吠える。しかしその低い照明がまた、雰囲気を存分にかもしだしているのである。
普段どんなに価値があるといわれている絵画をみても、[ふーーん。]としか思わないのに、この菩薩の壁画には参ってしまった。時間いっぱいまでじーーーっと眺め続けた。
やっぱり、写真だけではこれはわかりませんぜ!嫌味ですんません。

ただ、ゆっくり見たい方は、タクシーのチャーターをすすめる。おそらくアウランガーバードから1台1000から1500ルピーで可能。僕も前述のドライバーのアブラダさんに1000ルピーでできると言われたが、1000という値段に躊躇してしまった。といっても2500円くらいのもんだが。ツアーバスは300ルピーと安いけど、観れる時間が2時間半ほどしかない。ドミトリーでも泊まって、旅行者で集って3人ででも行けば、同じくらいの価格で行けるし、人が少ない朝方にでも行けば、その雰囲気はさらに良く感じると思う。
まあ、石窟なんて、興味なければ観る必要なんて、全くないと思うけど。おんなじツアーで日本人の方が8人いたけど、興味ない人もいて、あまりの暑さに座り込んでしまっていた。あと、やはりある程度、ざっくりとでも予習すれば、楽しさは倍増のはずである。今は、シャープのパピルス君(電子辞書)が大活躍だ。英和事典に、7カ国旅行会話に百科辞典、役立ちまくりである。いま俺がジャパネットでテレビの前で宣伝できたら、きっと会社の即戦力としてお茶の間を席巻しているだろう。それだけ愛しているのである。恋人が小さな電子機器ひとつというのも寂しい限りだが、つまり[知る]と[楽しくなる]といいたいだけなのだ。

相変わらず、アウランガーバードの人々は人懐っこい。なんの祭りなのやら、でっかいインド音楽とドラム隊、踊り狂う若者、爆竹、ド真ん中を歩くウシ。わけがわからん。
ちょっと離れるのが恋しいが、次はさらに500キロほど南にいったイスラム教色の濃いといわれているハイダラーバードへバスはむかう。