宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

山と生きる人。2




 相変わらずお早いお目覚め。昨日もメンバーたちは村の人と熱心に話し合いをしていた。眠くないのかねー。
 朝の7時には出発する。朝日が焼き山を照らして金色に見えた。
 しばらく歩くと巨大な滝が!ここもまだトレッキングのコース化はされていない。地元の人が残したらしいゴミをみて、「こういうことは決して起こさせないと村の人と話したよ。」と言っていた。
 滝を越えて、さらに道なき道をなたを振るいながら進む。木々の小枝が体を引っかく。擦り傷が見る間に増えていく。さらに急勾配の山道。枝につかまりながらすすむ。
 ベテランさんたちは苦笑いしながら、「お前はラッキーだよ。」といってくれた。ほんとにそう思った。ツーリストの通ったことのない道をゆく。そのため訪れる村々は、生活のにおいが充満していた。服装もまちまちで、民族服を着ている人もあれば、Tシャツにジーパンという人も多い。それはすごく自然に見えて、サパに行ったときのように、「商売用に着ている」空気ムンムンではなかった。ごく自然に臼で稲をついてる人や、民族服を織る音、のどかな光景。だれた犬。ほえるニワトリ。つつましく、確かな生活を見た気がする。
 昼2時ごろ、ガイドのサックさんの実家のある村へついた。高台にあり、その中心部にはその村の規模ではかなり目立つ教会がたたずんでいた。真緑の山を背景に赤茶色の道路が伸びていて、その真ん中に協会と家々が集まっている。その風景にしばらく見とれた。
 
 サックさんの家ではどんどん人が集まってきて宴会に。酒を回し飲みし、つまみを食った。道端にいる鶏をふん捕まえて首を絞め、丸焼きにして羽を焼く。その後内臓を取り出してスープに入れる。たくさんの生活の知恵を披露してもらった。
 たまたまミャンマー国境で働く青年が帰ってきており、英語で会話した。彼によると、外国人は神父さんが来たくらいだという。これは日本代表、いや、ツーリスト代表として愛想を振りまかねば!と思う必要もないほど、彼らは歓迎してくれた。ちょっと感動すら覚えちまった。
 ぜひまた来てくれと言ってくれる。サックさんも、大勢の人をもてなすのはうれしかったようだ。自分の家と実家、両方訪れたことで、「とても幸せだ!」と嬉しそうで、俺のこともベタ褒めしてくれた。
「あなたが家へ来てくれて、とてもハッピーだ。ここ数日はトレッキングが大変であんまり喋らなかったけど、俺はあんたのパーソナリティを見てて、 どんなにしんどいコースでも笑顔だったし、どんなご飯でもおいしいと言った。あんたは良い人だ。みんなそう思ってるよ。」
 などと、酒も入ってるせいか、嬉しい言葉連発で、歯が浮きそうになりながらもうれし泣きしそうだった。
 結局夜7時くらいまで宴会は続いた。帰りは全員べろんべろん。運転がやばいので、その日の深夜にチェンマイにつく予定だったが、再びサックさんの家に泊まり、次の日の朝9時にチェンマイへ戻った。

 このトレッキングを書くことにかなり時間を費やしちゃったけど、それだけ自分の中では大きな出来事だった。都会とは時間の流れ方が違っており、自然の恵みから飯を食って、自然にあわせて生きている。都会は人造の世界だ。人が人の行動を決めて、時間を管理する。変な殺人が起きたり、ひきこもっちまったり、ストレスというのはそういった「無」自然な部分から生まれているんじゃないだろうか。都会では人間が上に立つ。しかし自然の中では人間は自然の一部分にすぎない。そこから生まれるある種のゆとりを垣間見た気がした。

関心のある方はぜひ!
プーエコトレッキング  http://www2u.biglobe.ne.jp/~remimin/ecotrek/newtrek.htm

***まるでまわし者のようにアドレスをあちこちにちりばめてますが、まわし者ではございません。