宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

やっぱ、いろいろ考えました。




ルアンパバーンでゆっくり川を眺めていると、一人のお坊さんに声をかけられた。名前はクアンファンという。18歳。彼に導かれるまま川べりを散歩したり、木陰で家族の話をしたり、日本語を教えたり、ラオ語を教えてもらったりした。
彼の家族は10人以上で、彼は15歳の時に名もない小さな村から僧になるためにルアンパバーンへでてきて、仏教の学校に通っている。いろんな科目があるらしいが、ラマ教の仏典がもっとも難しいらしい。彼は英語も学びたいのだそうだが、1カ月5ドルの月謝が出せないらしい。家族も多く、まだ仕送りしてもらっている身でもあり、仕送りもないときがあるそうだ。英語は仲間の僧や、こういったツーリストを捕まえて習っているという。
一緒に写真も取ったのだが、彼は申し訳なさそうに、
[両親に見せてあげたいんだけど、お金がなくてプリントアウトできないんだ。良かったら送ってもらえないだろうか?]
といった。もちろん快諾して別れたけれど、いつ送ってくれる?5月?楽しみに待ってるよ。と、ニコニコしながら見送る顔が印象的だった。

それから夜ふけまでいろいろ調べてみたが、日本とラオスの経済格差はとてつもなく大きい。日本のひとり頭のGDPは33727ドルに対して、ラオスのGNP(おそらく海外進出企業が少ないためか?てもとの辞典にはGDPがなかった)は280ドル。その差すさまじい。時給に換算すると日本が1791円、ラオス14円である。もちろんこんなに数字は単純ではないが。

この数字を見た時、発展途上国の人々が、日本のバックパッカーを見る目線がちょっと分かった気がした。そして自分がえらいおめでたい存在であるように思えた。世の中お金じゃないっていってもお金やし、1年間28000円でなにができるんかなあ。教材もそろっていない環境の中で、彼はひたすら[学ぶ]ことに貪欲やった。


そんな出会いをしつつ、いまルアンナムサというさらに北部の町にいる。バスの道程は相変わらずすさまじく、乗り物酔いする人はおそらく5分でノックアウト。実際横のおばちゃんもゲーゲーいっちゃって、蠅もすごいしけっこうハード。でも、蠅たちと食事のとりあいすんのもすっかり慣れた。慣れってすごいね!