宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

HANOI ,空虚。



ーー今回は、めっちゃ偏見です。俺の、素直なハノイ観ーー

ハノイに来てからむかつきっ放し。何かがうまくいってない。そう、いいことばっかではないのである。
まずホテル。人気のドミトリー(7ドル)が一杯だったため、ガイドにのってる25ドルのホテルに泊まったが、まずここのヤツがうざい。フロントでは4人ほどのスタッフがいて、すましたやつがベトナムなまりの英語でまくし立てる。俺も英語が得意ではないので聞き返すと、周りの連中と笑いながら、[こいつ、英語わかんねーーよ!]みたいに騒ぐ。カギの使い方がよく分からなかったので聞くと、[こうですよ、サー。]といって、付いてこなくても良いのに3人くらい部屋まで来て嘲笑う、カギを投げてよこす、頼んでもないツアーを組ませようとする、でも欧米人にはものすっげー低姿勢。こいつ、明らかに22、3歳。鼻につく。
このホテル、老舗で欧米客が中心のよう。アジア人には、明らかに別態度。うざい。

そしてなにより、ハノイが全然面白くない。なんなんだろう、このからっぽなかんじ。どこか冷めていて、街の熱意を感じない。アクがなくって、屋台の人間もなんか冷めてる。妙な都会っ子気質を感じる。
街は西洋人の占める割合が、今まで見た街の中では圧倒的。俺のホテルも、欧米人以外見ていない。夕方の湖の公園のベンチは西洋人だらけ。ハロン湾世界遺産に登録され、観光客が増え、観光産業に力を入れるのはわかる。しかし。ほんとにがっかりした。西洋風レストランばかりで、屋台が申し訳なさそうに店を開いている。屋台のめしは、日本人ならいけるが、知り合ったデンマーク人も言ってたが欧米人にとったら異文化すぎる。だからレストランが多いのかなあ。勝手な予想やけど。

それとも中国がインパクト強すぎたのか。あれだけ自文化を全面に出す国はそうない。こんないいかたしたら、ベトナム人や、ベトナム好きの人に怒られるが、何かに媚びてるようにしか、みえん。インパクトなさすぎ。
いや、おそらくハノイがそうなんじゃないかと思う。[都会気質]なのだ。勝手に断定する。1日じゅう歩き回り、何かあるだろうと、博物館、記念館、史跡、ほとんどまわった。でも、なんにもなかった。
ただひとつ、ホーチミン博物館にベトナム人がたくさんいて、とても大切にしていることは分かった。偉大な人物で、今も慕われているのがわかる。

なんだか、ものすごく脱力してしまい、ホアンキエム湖の公園でずっと座っていた。声を掛けてくるのは、物ごいと売り子のみ。そのうち物乞いの、目が失明してたり、足がなかったり、赤ちゃんを抱いた3人に囲まれ、手を差し出された。
俺はたまらなくなってそこから逃げた。なんやねんこの街は!ぜんぜんおもろないやんけ!こっちから市場や屋台に飛び込んでいっても、なにも起こらない。
こんな感覚は久しぶりで、飛び込み営業やってた時の、あかんかったときの感じなのだ。
再びベンチにすわり、ぼーーっとして周りをみると、どのベンチにも欧米系の人が座っていた。自分のベンチにも60歳台の夫婦が座っていて、20分位たってからおじさんが話しかけてくれた。
彼らはデンマーク人で、農業を引退して、二人でやっと水入らずの旅行を楽しんでいるということだった。それから1時間くらい、いろんなことを話した。自分の国のこと、ベトナムのこと、他の国のこと、ヨーロッパにもゆくこと、この国は自分たちとは文化が大きく異なっていること。最後にお互いの住所、電話番号を交換し、お互いの旅の幸運と、英語の上達を祈って、がっちり握手して別れた。いいことも、やっぱりあった。

そうか、これがハノイなんかな。大勢のツアーの観光客を眺めながら、今日の1日の意味がなんとなくわかった。