宿屋の店主、日々のつぶやき。

旅好きが高じて宿を開業、自由な時間を求めて今日ももがいております。

古城のまち、大理。あ。そうそう大理石も有名ね。




 慣れたもんである。と思っていた。列車の旅は。
しかし、やっぱおかしいよ中国、ってか、すげえよ。
 前日、切符を購入し、宿へ戻ると、日本人の旅人たちがつどっており、俺も会話に参加させてもらっていた。そのなかで、いまから寝台で大理へ向かうという二人が、俺のチケットを見て驚いていた。「あたしらこの倍払ってますよ!」「へえーーそうなんや。なんかラッキーやなー」とかちょっと得意げになっていたのである。
 が、やはりそんなことはなかった。
 
 切符の座席へ行った。二段ベッドが向かい合う、4人部屋みたいな感じだ。えーーっと、上の段、、、あれ?なんでみんなそこに荷物置くノン?あれ?と思ってる間に俺のベッドは荷物でまんぱん。向かいのベッドもおんなじだ。そしてその下の段に、あわせて8人、子供2人がぎっしりと肩を寄せ合う。かかる吐息。泣き叫ぶ子供。けられる俺。ああすごい。こんなところに8時間ですか!?半額の訳やわ。
 結果的には面白くて、庶民レベルの生活が垣間見えた。列車にはお湯がすえつけられているので、早速列車はインスタントラーメンのにおいで充満する。そのへんにゴミをぶんなげるガキ、ゴミ箱にオシッコさせるパパ、携帯の着メロを鳴らし続けるおっさん、落花生のかすをなぜゴミ箱に捨てない!?ああっタンをそんなところに吐かないで!車内音楽がうるさい!、、、まさにカオスだった。
 勧められるままにお菓子を食い、同じように笑う。7時間くらいたったころに、ようやくおっさんに日本人であることを告げると、えらいびっくりして「おい!みんなみてみろよ。彼、日本人だぜ!中国人だと思ってた!(彼、日本人、中国人っていう単語だけわかる)」わらわら集まる人、そして一様に、みんなうなづいて帰っていった。子供とたわむれたり、おっさんとたわむれたり、また車内から雄大な景色を望むことができた。盆地に一面に広がる緑と黄色の畑。風がなぎ、生き物のように波打つ。
 痛む腰をさすりつつ、それなりに充実したときを過ごした。

 大理(ダーリー)は古来南詔大理国といった、タイ語族系の民族がたてた文化の街だ。そこの古城へ行く。古城といっても日本のものとは大きく異なり、町を城壁が囲っているのである。三国志のマンガにでてくる世界そのままである。
 古城の町に着いた時点で夜8時をまわっていた。急いであるレストランの上にあるシングルルーム、60元の部屋を取り、夜の古城へくりだした。

 まるで夏祭りの装い。思ったよりもにぎわっている。城のライトアップはきれいだったが、弱冠雰囲気をそがれた感がある。
 朝、町をまわる。一歩路地をはいれば、すこし古いたたずまいとなる。寺院や塔も美しく、背後にそびえる4000メートル級の山が神秘的だ。きて良かった。
 街中はにぎやかで、かっこいいCD屋や本屋が連なる。外国人が多いせいか、洋書や、輸入CDが多く、洋人街にはなぜかチェゲバラやボブマーリィのポスターが。
 またこの大理では、ビザなし入国者にも、ビザが即日発給されるという。驚きだ。原則だめなはずなんやけど。
 やはりちょっと違う匂いのもった町だ。ゆるい雰囲気で、暖かく、宿も10元(160から170円)からあり、沈没して長居する旅行者も多いそうだ。
 長居したい気持ちをおさえつつ、16時半のバスで昆明へ舞いもっどった。バスのほうが速く、五時間で着く。閉まりかけのカウンターへ行って、ノートに「昆明ー河口、我要」みたく書きなぐり、3月1日の河口行きのチケットを手に入れた。これで、国境まで一直線だ。
 重荷が取れたような感覚で、楽に床についた。